陰キャの主張

ぼくは言葉選びについて一家言ある。

と言うといかにも高尚な考えを持っているように聞こえるが、何のことはなく、嫌いな言葉が多いというだけだ。 

「陰キャ」という言葉が嫌いだ。ぼく自身がこの言葉で形容されるタイプの人間だということもあるが、それにもまして「陰キャ」という言葉が嫌いだ。ひとの気分を害するためだけにつくられた言葉のように感じてしまう。暴力性を持った言葉というのは他にいくらでもあるんだろうけど、どうもこの言葉には発言者の驕りや嘲りなんかも透けて見える。「自分はお前らとは違い、価値のある人間だ」という素敵な思い込みがいったいどこから来るのか教えてほしい。「自信がある」と「人の心に土足で踏み込む」は紙一重だと思う。この言葉が喉を通り、唇から零れ、空気を揺らし、相手の耳に入る。この一連を平気で、心に何も背負わずにこなせてしまう人に私はなりたい。

やっぱりなりたくなんかない。